白い海を辿って。


自宅に戻るとそのまま自室に直行し、着替えもせずにベッドに倒れ込んだ。

青井さんに連絡しとけよと行った兄の声を思い出すけれど、やっぱり手が動かない。

昨夜は眠りが浅かったのかすぐに眠気が襲ってきて、気付けばそのまま眠りに落ちていた。


スマホの着信音で目を覚ますと、お昼どころか夜になっていて飛び起きる。

どんだけ寝てたんだ…。


身体を起こしてスマホを確認すると、いくつかの通知が溜まっていた。

彼からだろうかと開いてみたけれどそこに彼の名前はなく、代わりに見知らぬ番号が並んでいた。

なんだろう。

間違い電話?最近誰かに番号教えたっけ?

いろんなことを考えてみるけれど答えなど分かるはずもなく、ただ鼓動が速くなっていくだけだった。


まさか、ね。


もうあんなに前の話。ずっと会ってもいない。

連絡先も消去してもらったし、番号も変えた。

第一あの人は県外に引っ越したはずだ。


だから違う。

そんなわけないと、自分自身に強く言い聞かせる。