白い海を辿って。


「ちょっと買いすぎちゃったかな。」


今夜は彼の家で過ごすことになっている。

一緒に夕食の材料を買いに行ったけれど、沢山食べてもらいたいと思っていたらつい買いすぎてしまった。



『大丈夫だよ、また作りに来てもらうし。』


冷蔵庫に材料を入れている私を後ろから抱きしめながら言う。


彼の家へ来るのは、今日が3度目だった。

泊まるのは今日が初めて。

いつもは私を引っ張ってくれる彼は、自宅では結構甘えたがりになる。



「はるくんも作るの手伝ってね。」

『うん。あ、そうだ。』


はっと思い出したように体を離した彼がリビングから何かを持ってくる。



『はいこれ、プレゼント。』

「え?エプロン?」

『うん、明日実に似合うと思って。』


彼が広げてくれたのは、温かなオレンジ色のエプロンだった。

ポケットの部分がチェック柄になっていて可愛い。



「嬉しい!ありがとう!これつけて料理いっぱいするね。」

『実は俺もあるんだよね。』


少し照れくさそうに見せてくれたのは、私と色違いのブルーのエプロン。