青井さんは、食事をしながらいろいろな話をしてくれた。

仕事や趣味のこと、私が気詰まりにならないようにさらりと気を遣ってくれているところもやっぱりすごく大人で、気付けばすっかりくつろいでいる自分がいた。


青井さんは今26歳で、教習所の近くで独り暮らしをしている。

彼女はいないって言ったけど、本当かな。

冗談で2、3人いると言われても信じてしまった気がする。


沢山話してくれる青井さんに私は何も自分の話を返せなくて、でも青井さんはそれを後ろめたく感じさせることもしなかった。



『この近くにもうひとつ行きたいところがあるんだけど、いいかな。』

「はい。」


デザートまでしっかり食べて幸せな満腹感に浸っていると、来る前に感じていた不安や心配はもうなくなっていた。



「あの、ごちそうさまです。」

『美味しかったね。』


半分出すと言う私に青井さんは自分が誘ったんだからとごちそうしてくれた。


次の目的地へと向かう車内はとても静かで、安心感のある心地良い運転にしばらく身を任せる。