かぼちゃの君






「あんた、名前は?」

「え、えと、佐藤凛子です……」

「さとうりんこ? 食べ物みたいだな」

「よ、よく言われます……あはは」

適当に笑っていると、天野先輩はさっきまで私が読んでいた大学の資料を手にとる。

「進路、迷ってんの?」

「あーはい、まあ」

というか、天野先輩とは初対面だし、今初めて話したのになんで天野先輩はまだここに。
今は部活なんじゃ。

「部活なら今日は定休日」

「ど、読心術は勘弁です」

「なんだよそれっ。顔にばればれ」

そうニッと笑う天野先輩の顔はさっきまでの怖い感じとは全然違う。
たぶん、こういう表情が女の子から人気を集めている理由なんだろう。