だけど、手がかりになる首筋にほくろが3つ並んである人なんて全然いなくて。
探してもう1年が経とうとしている。
「あ、そういえば」
良子が思いだしたかのように声をだした。
「かぼちゃ君じゃないかって思われてる容疑者、知ってる?」
「えっ?!」
良子の言葉に、あたしは思わず声をあげた。
その声が大きかったからか、周りの人の視線が私に集まる。
「……な、なにそれ」
恥ずかしくなり、私は本で顔を隠しながら、良子に小さな声で尋ねる。
「3年生の天野飛鳥先輩」
「あまの、あすか先輩……? 女の人?」
「ううん、男の人。顔も美少年ってより、美少女なんだけど、これがまた」
良子は急に口を閉じた。
「これがまたなに?」
私は急に黙る良子に眉間にしわを寄せる。
良子は、そっと視線をそらした。そんな良子の視線の先が気になり、前を向くと、「あっ」と思わず声がでた。

