私は、深呼吸をし、ゆっくりと目の前の図書室のドアを開けた。
図書室には、予想通り、かぼちゃ君がいて。


「かぼちゃ、外してくださいよ。天野先輩」


私がそう言うと、天野先輩はゆっくりと頭に被っていたものを外した。

「やっぱ気づいたか」

「はい」

「まーな。おもしろ半分って感じで。んで、感想は?」


私はその質問をきいたとき、クスッと笑った。
今ならわかる。
八坂先輩がなんで、かぼちゃ君の正体をきいたとき、ああ答えるのか。

『あの人みると、誰でも悩みが吹っ飛んじゃうわよ』

本当に、いろいろ悩んでた自分がばかみたいだ。
実妃ちゃんの言葉も、そのまんまの意味で。

『案外、かぼちゃ君は単純だよ』

私はクスッと笑って言った。

「先輩、お芝居はもういいですよ。だって先輩じゃないでしょう?」


いや、この言い方は違うか。


「かぼちゃ君、先輩だけじゃないでしょう?」