「ほら、たてるか?」
「あ、ありがとうございます」
差し出された手を、少し戸惑いながらも掴み、立上がる。
「お前、さっきなんで俺のこと見てたの?」
「え、えーと……」
「……かぼちゃ君だと思うから?」
「……」
核心をつかれ、思わず黙り込んでしまう。
「ふーん?」
先輩は少しにやっと笑って。
「そんなに俺のこと、気になる?」
その言葉が、さっき言われた良子の言葉を連想させて、私の顔がまた赤くなる。
そんな私を先輩は、クスクスと笑って、「じゃあな、りんごちゃん」と私の左側を通って歩いて行ってしまった。
あ、れ……?
なんだろう、この違和感……。
少し感じた違和感に、私は首を傾げながらも、ゆっくりと歩いて教室へと向かった。

