8時になると、チャイムが響く。
その時、グラウンドから顔をあげる先輩と、ふと目が合った。


「りーんーごー?」


突然後ろから名前を呼ばれ、肩がビクッと動いた。

「りょ、良子……」

「なーにしてんのこんなところで。ん? 天野先輩?」

「ちょっ」

さっきまでの私の視線の先を見た良子は、にやあっと笑って私をみる。

「あっれ〜〜? こんな朝早くから天野先輩みつめてどうしたの〜〜?」

「べ、べつに」

「もしかして」

良子はグッと顔を近づけて。
ニヤッと笑って、私の耳元で囁くように言った。


「こ、い?」


あまり私と良子の会話ではきかない単語に、私の顔はボッと赤くなる。