「かぼちゃ君の正体、知りたい?」
「……いえ、自分で見つけます」
そう答えると、先輩はにこっと笑ってくれた。
「じゃあ、私は帰るね。最後に一曲、歌ってあげる」
「……はい、是非!」
私がそう笑って答えると、さっきまで踞っていた良子がガバッと立上がった。
「うわっ、良子? びっくりしたー」
「りんご、わたし帰るね!! じゃ!!」
「えっ、ちょっ」
あまりの帰る速さに口をポカーンとあけてる間に、先輩はCDをセットしていた。
音楽が流れ始め、先輩が大きく息を吸う。
それに合わせて、私はゆっくりと目を閉じた。
綺麗でゆったりとしたメロディー。
先輩の優しい声にはピッタリだと思った。
そして、先輩の歌声が響き渡る。

