「えっと、先輩はみんなにかぼちゃ君をみたら、『かぼちゃ君をみると悩みが吹っ飛ぶ』みたいなことを言ってたんですよね?」
「ええ、そうよ。だってほんとにしょうもないんだもんっ。ほんと、ばからしいにもほどがあったわ」
先輩はクスクス笑って、私の目を見て真っすぐ言った。
「かぼちゃ君の正体、私の好きな人だったの」
「……えええええっ?!」
「ほんと、笑っちゃうでしょっ?」
あまりにも衝撃的で、私は口をぽかーんとあけて先輩の話をきいている。
「見たときほんとびっくりして、笑いが止まらなかったわ。こんな人を好きになったんだって」
「嫌いに、なったんですか……?」
「ううん、もっと好きになった。その人に『すんごい好きな人がいるんだけど、この気持ち伝えたらきっとその人はとても困ると思う、どうしたらいい?』ってきいたらその人なんて言ったと思う?」
私は首を横にふると、先輩はクスクスと笑って、優しい声で言った。
「『女の子に好きって言われて嬉しくない男はいない』って」
そう言った先輩の顔は、ほんとに嬉しそうで、とても綺麗で。
「そのとき、『ああ、この人を好きになってほんとによかった。間違えてなかった』って思ったの」
恋をすると可愛くなったり、綺麗になるってこういうことなのかなって思った。