かぼちゃの君






そして放課後。良子と合唱部の部室である第二音楽室に向かおうとしたとき、「佐藤ー」と担任瓜谷南(ウリタニ ミナミ)先生に呼び止められる。

「お前、今日日直だろ。日誌もってこいよ」

「……はーい」

完璧忘れてた。
私は自分の席に座り、鞄の中から日誌を取り出す。

「じゃあ、先に音楽室いってるねー」

「うん、日誌途中までは書いてあるし、すぐ行けると思うから」

良子は楽しそうに教室を出て行ったのを少し苦笑いで見て、私はグッと体を伸ばし、日誌にペンをはしらせていく。

15分ぐらいで日誌は書き終わり、私は少し駆け足で職員室に向かった。
職員室に入ろうと、ドアを開けるとちょうど中にいた人が出て行く時で軽くぶつかってしまった。

「す、すみません」

そう謝り顔を上げると、ぶつかってしまった人は同じクラスの百枝実妃(モモエ ミキ)ちゃん。

「ごめんねっ、りんごちゃん」

「ううん、こちらこそ。それと、りんこだから」

「あははっ。りんごちゃんは、職員室に何の用で?」

そうきく実妃ちゃんはクラスの学級委員長。
黒いセミロングの綺麗な髪は男の子に評判が良く、結構な頻度で告白されてるとか。