夏が過ぎて、少し肌寒い時期が続き、もうすぐ冬になる秋の終わり頃。
定期考査も終わり、少し気が抜けた10月下旬。

「はあ……」

「りーんご、なーにため息ついてんの」

「進路のことで悩んでるの。それと、わたしはりんごじゃない!! りんこ!!」

「はいはい」

軽く流す私の目の前にいるのは、狩野良子(カリノ リョウコ)。

「でも、りんごが図書室で進路考えるなんて、どうしたの?」

「べーつに」

「あっ、もしたかして、噂に期待してるとか?」

「なっ」

「じょーだん。りんご、そういうの興味ないもんね」

「そ、そうだよっ、ちょーっとたまにはいいかなって」

なんて嘘。

ほんとは、この高校にあるちょっとした噂に期待していたり。