●全力妄想少年●

初めての出来事に混乱する僕に見向きもせず、彼女はゆっくりと立ち上がり、スカートのポケットからイヤホンを取り出して耳に装着した。


「う…ん、よし!」


彼女は大きな背伸びをして、頬っぺたをパンパンと両手で二回叩いた。


それはお父さんが朝よくやっているのと同じ癖だった。