「すいません、この女の人を知りませんか?」


僕たち2人は、人の良さそうな大人を選んで声をかける。


「急いでるんだ」


と邪険にする人もいれば、


「こんな所に子どもが来るな!」 


と説教を始める人もいて、なかなか上手くはいかない。



「簡単にはいかないね」


と鈴木さんに言ったら


「愛は障害が多いほど燃えるのだからこれでいいのよ」


と自信満々に答えるので、そんなもんなのかと妙に納得してしまった。