「おっはよー!」
飛行機に乗るなり、軽く私と椎菜の肩を叩いてきたのは美冬だ。
グレーのニットとラベンダーのパンツがよく似合っている。
「朝から元気だね、美冬……」
「普通は緊張するものなのにな、親父の車で寝息立てて寝てたからな、美冬は。
そのせいもあって、余計元気なんだろ」
小野寺くんの解説で合点がいった。
なるほど、もう彼氏の親とも家族ぐるみの付き合いというわけだ。
これは、ひょっとすると、このメンバーの中で一番先のゴールインもあり得るかもしれない。
ゴールインしたら、式には出ないとな。
華恋も、眠そうに欠伸を噛み殺しているが元気だ。
マゼンタピンクのニットにグレーのワイドパンツ。
自分の鮮やかな服の色で目が覚める、わけでもなさそうだ。
離陸した!とテンション高めなのは琥珀だ。
くすんだグリーンのニットにグレーのワイドパンツという格好だ。
しかもニットは薄手な上にVネックなので、横にいる巽くんが目のやり場に困っている。
眠そうに麗眞くんの肩に頭をもたせかけているのは椎菜だ。
彼女は麗眞くんに何やら耳元で囁かれて、顔を真っ赤にしている。
ああ、いいガールズトークのネタにされそうだな。
「いい奴だよな、拓実。
会えるの楽しみにしてるんだろうぜ。
楽しんで来なよ。
何かあったら聞いてやらんでもないし、異性の1人としてアドバイスもできる。
まぁ、いらないだろうけど」
「ありがと、桜木くん」
私はというと、隣の座席に座る桜木くんに二言三言話しかけられただけで、あとは無言だった。
というのも、男子陣は何やら真剣に巽くんの話を聞いていたからだ。
何を話しているんだろう。
琥珀は、巽くんの着ていたウインドブレーカーを肩掛けしている。
「ふふ、琥珀の無防備な姿を他の男の目に晒したくない、って感じね。
やっぱりこれ選んで良かった」
琥珀にこの服を薦めた意図はここにあったのか。
やっぱり恋愛のカリスマは策士だ。
「んで?
自由時間になったら会うんでしょ、拓実くんに」
「会ったらよろしく伝えてねー!
捻挫した脚もすっかり治って元気だって言っておいて!」
「無事に会えるといいなぁ、迷いそう」
「拓実なら迷っても何とかして見つけてくれるでしょ、理名のためなら。
麗眞くんの執事の相沢さんから聞いた話なんだけどね。
ガチで迷ってホテルに帰れなくなったときのために、別荘もこっそり手配してある、って話よ。
どこまで権力あるのよ、宝月財閥って。
そこまで相手さんがいいお家柄なのに、
律儀に夢叶えるまでプロポーズは受けないつもり、って椎菜言ってたし。
真面目なのよねぇ、そこは。
とっとと結婚の約束しちゃえばいいのに。
てゆーかデキ婚も有り得そう、あの2人なら」
すやすやと麗眞くんの肩に頭を預けて寝息を立てる椎菜をチラリと見やって、琥珀は小さく嘆息した。
「今みたいな感じなら、乗り越えられるかもしれないけどね。
私と拓実みたいに、何かあって離れたら、多分。
意外に脆いんじゃないかな。
簡単に喧嘩別れ、に近い状態になりそうな感じもする」
まさか、なんの気無しに口走った言葉が、数年後に当たるなんて、思っても見なかった。
「仮にそうなっても見捨てないけどね。
何やかんやいっても、2人でいるほうが彼ららしく、幸せにやっていけると思うわ」
そんな会話をしながら、運ばれてきた機内食を頬張る。
とりとめのない会話をしていると、もうすぐ着陸するという。
拓実から12時間のフライトだと聞いていたから、手持ち無沙汰になるかなと思っていた。
案外そうでもなかった。
飛行機に乗るなり、軽く私と椎菜の肩を叩いてきたのは美冬だ。
グレーのニットとラベンダーのパンツがよく似合っている。
「朝から元気だね、美冬……」
「普通は緊張するものなのにな、親父の車で寝息立てて寝てたからな、美冬は。
そのせいもあって、余計元気なんだろ」
小野寺くんの解説で合点がいった。
なるほど、もう彼氏の親とも家族ぐるみの付き合いというわけだ。
これは、ひょっとすると、このメンバーの中で一番先のゴールインもあり得るかもしれない。
ゴールインしたら、式には出ないとな。
華恋も、眠そうに欠伸を噛み殺しているが元気だ。
マゼンタピンクのニットにグレーのワイドパンツ。
自分の鮮やかな服の色で目が覚める、わけでもなさそうだ。
離陸した!とテンション高めなのは琥珀だ。
くすんだグリーンのニットにグレーのワイドパンツという格好だ。
しかもニットは薄手な上にVネックなので、横にいる巽くんが目のやり場に困っている。
眠そうに麗眞くんの肩に頭をもたせかけているのは椎菜だ。
彼女は麗眞くんに何やら耳元で囁かれて、顔を真っ赤にしている。
ああ、いいガールズトークのネタにされそうだな。
「いい奴だよな、拓実。
会えるの楽しみにしてるんだろうぜ。
楽しんで来なよ。
何かあったら聞いてやらんでもないし、異性の1人としてアドバイスもできる。
まぁ、いらないだろうけど」
「ありがと、桜木くん」
私はというと、隣の座席に座る桜木くんに二言三言話しかけられただけで、あとは無言だった。
というのも、男子陣は何やら真剣に巽くんの話を聞いていたからだ。
何を話しているんだろう。
琥珀は、巽くんの着ていたウインドブレーカーを肩掛けしている。
「ふふ、琥珀の無防備な姿を他の男の目に晒したくない、って感じね。
やっぱりこれ選んで良かった」
琥珀にこの服を薦めた意図はここにあったのか。
やっぱり恋愛のカリスマは策士だ。
「んで?
自由時間になったら会うんでしょ、拓実くんに」
「会ったらよろしく伝えてねー!
捻挫した脚もすっかり治って元気だって言っておいて!」
「無事に会えるといいなぁ、迷いそう」
「拓実なら迷っても何とかして見つけてくれるでしょ、理名のためなら。
麗眞くんの執事の相沢さんから聞いた話なんだけどね。
ガチで迷ってホテルに帰れなくなったときのために、別荘もこっそり手配してある、って話よ。
どこまで権力あるのよ、宝月財閥って。
そこまで相手さんがいいお家柄なのに、
律儀に夢叶えるまでプロポーズは受けないつもり、って椎菜言ってたし。
真面目なのよねぇ、そこは。
とっとと結婚の約束しちゃえばいいのに。
てゆーかデキ婚も有り得そう、あの2人なら」
すやすやと麗眞くんの肩に頭を預けて寝息を立てる椎菜をチラリと見やって、琥珀は小さく嘆息した。
「今みたいな感じなら、乗り越えられるかもしれないけどね。
私と拓実みたいに、何かあって離れたら、多分。
意外に脆いんじゃないかな。
簡単に喧嘩別れ、に近い状態になりそうな感じもする」
まさか、なんの気無しに口走った言葉が、数年後に当たるなんて、思っても見なかった。
「仮にそうなっても見捨てないけどね。
何やかんやいっても、2人でいるほうが彼ららしく、幸せにやっていけると思うわ」
そんな会話をしながら、運ばれてきた機内食を頬張る。
とりとめのない会話をしていると、もうすぐ着陸するという。
拓実から12時間のフライトだと聞いていたから、手持ち無沙汰になるかなと思っていた。
案外そうでもなかった。