鳴り響く目覚ましのスヌーズ音で目が覚めた。
「いまなんじ……?」
ベッドサイドの棚にあるメガネを取って時間を見る。
朝の7時だった。
「ヤバい!
遅刻する!」
急いで化粧をして、この間ショッピングモールで買ったドット柄のスカートにロイヤルブルーのニットを着る。
黒いレースアップ靴を履いて、家を出た。
あの日、拓実に貰った指輪も、ちゃんとチェーンを通して首から下げている。
ヒールはそんなに高くないので走れる、と一瞬思った。
……走れるわけがなかった。
今の私はスーツケースを持っているのだ。
はぁ、とため息をつくと、目の前に見覚えのある長いリムジンが停まった。
「ホラ、早く乗れ。
飛ばすから掴まれよ?
出してくれ、相沢」
早く、と言わんばかりに麗眞くんがスーツケースを受け取ってくれる。
椎菜が私の手を強く引いて空いた席に座る格好になった。
「なんで……?」
「んー?
理名ちゃんの家から動いてなかったから。
他の皆はもうすぐ空港に着く頃かな?
小野寺くんと美冬なんて、小野寺くんのお父さんに送ってもらってるみたい。
この後、彼のお父さんも海外ロケみたいだから、ついでに、って。
羨ましいよね、もう家族ぐるみの付き合いなんて。
こりゃ、私と麗眞よりゴールイン先かもね?
秋山くんと深月、巽くんと琥珀、華恋は自力で電車乗り継いで向かってるところみたい」
椎菜は盜音機を指差しながらそう説明してくれた。
便利だな、これ……
それにしても、とふと椎菜の服装を見て思った。
ピンクのパンツにベージュと白が混ざったような色合いのニット。
下はベージュのスニーカー。
いつもスカートやワンピースを好んで着用する彼女のパンツスタイルは珍しい。
それなのに、ちゃんと女性らしい。
麗眞くんが溺愛するのも頷ける。
センスがいい、とは彼女のことを言うのだろう。
「んー?
私の服がどうかした?
理名も、いい感じ。
拓実くん、惚れ直すよ、きっと。
向こう着いたらちょっとメイクとか手を入れてあげる!
そうしたら完璧かも!
飛行機乗る前にメールしてあげなね!」
「椎菜はいつでも可愛いけど。
ってか、今日は椎菜に起こされたし。
起こされてなかったら、こうして理名ちゃん迎えに行けなかったな。
理名ちゃんがスカート履いてるの、珍しい。
可愛いし、スカートやらワンピース着ればいいのに。
こういうの、あんま言っちゃセクハラになるやつかな」
麗眞くんは横の椎菜に軽く肘で小突かれていた。
相変わらずだな、この2人は。
散々カップル2人の惚気のようなイチャイチャを朝から見せつけられているうちに、車は空港に到着していた。
相沢さんは、空港で私たち全員から盗音機を回収した。
現地の空港に到着したら、また渡してくれるそうだ。
いろいろ機能がある機械だ、検査等に引っかかるとまずいのだろう。
飛行機の機械に影響する可能性もある。
「おはよー、皆ー!
相変わらずお二人さんは仲良しのようで」
深月は、薄いブルーのキャリーバッグを引きながら、私に手を振った。
ラベンダーのニットに、ベージュのパンツ、白のスニーカーという格好の彼女。
私服なところは、修学旅行なのだと思わせられる。
横にいる秋山くんから、あまりはしゃぐなと窘められていたが。
違う班になってしまった美冬と小野寺くん、華恋や琥珀、巽くんもいる。
班は違っても乗る飛行機は同じようだし、飛行機の中で話せるか。
キャリーバッグを各々預け、手荷物だけにする。
無事にドイツに着けるように祈りながら、飛行機に乗った。
「いまなんじ……?」
ベッドサイドの棚にあるメガネを取って時間を見る。
朝の7時だった。
「ヤバい!
遅刻する!」
急いで化粧をして、この間ショッピングモールで買ったドット柄のスカートにロイヤルブルーのニットを着る。
黒いレースアップ靴を履いて、家を出た。
あの日、拓実に貰った指輪も、ちゃんとチェーンを通して首から下げている。
ヒールはそんなに高くないので走れる、と一瞬思った。
……走れるわけがなかった。
今の私はスーツケースを持っているのだ。
はぁ、とため息をつくと、目の前に見覚えのある長いリムジンが停まった。
「ホラ、早く乗れ。
飛ばすから掴まれよ?
出してくれ、相沢」
早く、と言わんばかりに麗眞くんがスーツケースを受け取ってくれる。
椎菜が私の手を強く引いて空いた席に座る格好になった。
「なんで……?」
「んー?
理名ちゃんの家から動いてなかったから。
他の皆はもうすぐ空港に着く頃かな?
小野寺くんと美冬なんて、小野寺くんのお父さんに送ってもらってるみたい。
この後、彼のお父さんも海外ロケみたいだから、ついでに、って。
羨ましいよね、もう家族ぐるみの付き合いなんて。
こりゃ、私と麗眞よりゴールイン先かもね?
秋山くんと深月、巽くんと琥珀、華恋は自力で電車乗り継いで向かってるところみたい」
椎菜は盜音機を指差しながらそう説明してくれた。
便利だな、これ……
それにしても、とふと椎菜の服装を見て思った。
ピンクのパンツにベージュと白が混ざったような色合いのニット。
下はベージュのスニーカー。
いつもスカートやワンピースを好んで着用する彼女のパンツスタイルは珍しい。
それなのに、ちゃんと女性らしい。
麗眞くんが溺愛するのも頷ける。
センスがいい、とは彼女のことを言うのだろう。
「んー?
私の服がどうかした?
理名も、いい感じ。
拓実くん、惚れ直すよ、きっと。
向こう着いたらちょっとメイクとか手を入れてあげる!
そうしたら完璧かも!
飛行機乗る前にメールしてあげなね!」
「椎菜はいつでも可愛いけど。
ってか、今日は椎菜に起こされたし。
起こされてなかったら、こうして理名ちゃん迎えに行けなかったな。
理名ちゃんがスカート履いてるの、珍しい。
可愛いし、スカートやらワンピース着ればいいのに。
こういうの、あんま言っちゃセクハラになるやつかな」
麗眞くんは横の椎菜に軽く肘で小突かれていた。
相変わらずだな、この2人は。
散々カップル2人の惚気のようなイチャイチャを朝から見せつけられているうちに、車は空港に到着していた。
相沢さんは、空港で私たち全員から盗音機を回収した。
現地の空港に到着したら、また渡してくれるそうだ。
いろいろ機能がある機械だ、検査等に引っかかるとまずいのだろう。
飛行機の機械に影響する可能性もある。
「おはよー、皆ー!
相変わらずお二人さんは仲良しのようで」
深月は、薄いブルーのキャリーバッグを引きながら、私に手を振った。
ラベンダーのニットに、ベージュのパンツ、白のスニーカーという格好の彼女。
私服なところは、修学旅行なのだと思わせられる。
横にいる秋山くんから、あまりはしゃぐなと窘められていたが。
違う班になってしまった美冬と小野寺くん、華恋や琥珀、巽くんもいる。
班は違っても乗る飛行機は同じようだし、飛行機の中で話せるか。
キャリーバッグを各々預け、手荷物だけにする。
無事にドイツに着けるように祈りながら、飛行機に乗った。