私は負けたくなくて思いっきり走る。
こんなに本気で走ったのは、いつぶりだろう。


「同着かな。」


ゴールにいた女の子がそういった。


「勉強オタクなくせに、運動できるんだな?」


「“オタク”じゃありません。
勉強なんてやりたくてやってるわけ、ないじゃないですか。」


「そっかそっか。
“お母さんのため”だもんな。」