「いえ、そんなことはありませんでした。 私は、婚約をお断りしたはずです。 ですが、お母様も柏木様も、認めてはくれませんでした。」 「そんなことはないですよ。 ただ、よく考えてと申したまでであって…」 「梨依は、考えもせずに発言などいたしません。 そちらは、どうしても、婚約を認めさせようとしたのでしょう?」 優真さんが、柏木さんを問い詰める。 「そんなの、あたりまえでしょう。 より良い相手と婚約させるのが、私の希望ですもの。」 お母様はそういって、すました顔をする。