「それで、どうでしょう梨依さん。
私と婚約していただけませんか。」


「……申し訳ございません。
私には、好きな人がおりまして…。」


「あなた、何言ってるのっ?!
柏木様がせっかくこういってくださっているのに……。」


「まあまあ、お母様、落ち着いてください。

今すぐにとは言いません。
よくお考えになってから、お返事をお聞かせ願います。」


「そうしましょう、梨依。
では、本日は失礼いたします。」


私はお母様に腕を引かれ、柏木さんに軽く会釈をして、部屋を出る。