「佐野さん。」 「はい?」 「ここ、教えてほしいんだけど……。」 「もちろん、いいですよ。」 講義と講義の間にも、私のところへ来る人は多い。 淘汰はあきれた顔をしていたけど、 やっぱり困ってる人を、放っておくことはできない。 「梨依、そんないい人だっけー?」 私がいろんな人に囲まれていると、 少し離れたところから、淘汰の声がする。