約束の日の二日前ーー
俺は上からどうしてもと言われ
旅行に行く日に急遽(きゅうきょ)仕事をする羽目になった。
はぁー、茉美になんて詫びれば良いんだよ。
その夜、俺は旅行に行けなくなった事と事の経緯を話した。
茉美なら分かってくれる、そう信じていたが違った。
茉美は泣き崩れながら
「な、んで…ヒックっ……楽しみにしてたんだよ。
なのに、なんでっ!」
あまり茉美は感情を出さないが、この時は相当辛かったのだろう。
「最近、っぜんぜ…構って……くれっないじゃん」
「ごめんな…仕事が忙しかったんだよ」
「仕事、仕事って……私より拓弥は…ヒック……
仕事の方が…………大事だもんね」
「ちがっ「違うくなんてないでしょ!ずっと我慢してたのに……。
もう拓弥なんて、拓弥なんて嫌い!!」
そう言って茉美は鞄を掴み家に戻ってくることは、なかった。

