なのに、何故?


あたしはもう野球に苦しめられる拓真は見たくない。



「美優?きいてるか?」

「あ、うん。大丈夫」



でさ、とあたしは続けた。



「…拓真はどうしたいの?」

「俺は…やりたいって思ってる。」

「嘘でしょ?なんで、、、?」



あんなに苦しめられてたのに?


拓真は困ったように笑いながら、話し始めた。




「俺さ、野球が好きなんだ。きっと、誰よりも。それは美優も知ってるだろ?

俺はあの日から野球を遠ざけて、逃げてきたけど、それでも心から嫌いになんてなれなかった。

もう 大好きなものから逃げたくない。野球部を見て悔しい想いするなんて嫌なんだ」

「俺 もう1回 頑張ってみたいんだ」


そう拓真は続けた。