「…柚?」


やっと巳波は額を離して、あたしの顔を覗く。


「うん!風邪だよ風邪きっとそう、風邪なんだよ」


巳波に言ったというよりもあたし自身に言い聞かせるように何度も繰り返し言う。


顔が赤いのだって、心臓がバクバク煩いのだって、風邪を引いたから。


「…寝てて」


巳波は半ば無理矢理、あたしを布団の中へと入らせる。


そして、何をゴソゴソとしてるのかと思ったら、巳波は体温計を出してくれた。


体温計を脇に挟み、しばらく待つ。


「巳波は学校行かないの?」


そうだよ、学校は普通にあるんだし、あたしの看病してないで学校行かないと。


あたしの風邪がうつっちゃう。


「あいつらに会いたくない…それに、柚の事心配だから」


さらりと恥ずかしがらずにそんな恥ずかしいことを言ってのける。


あぁ、やだ。


言われたこっちが恥ずかしくなるじゃん。


ピピピと丁度、体温計の計れたという合図が鳴り、あたしは体温計を脇から取り出す。