恐る恐る少しづつ目を開いていくと、ドアップで巳波の顔が映しだされた。


「な、ななな!?」


もう自分でも何を言ってるか分からない程、頭はパニック状態。


「顔赤いけど…熱あるのか?」


そして徐々に近づいてくる巳波の顔。


キス…される!?


いきなりの展開に驚きを隠せないあたしは目を瞑ることを忘れていた。


コツン


可愛らしい音を立て、巳波とあたしの距離は0距離になった。


「…この測り方じゃ、イマイチ分からないものなんだな」


勿論、それの距離は唇と唇の距離ではなく、…額と額の距離で。


巳波のスミレ色の瞳にゆでだこの様に赤い顔をしたあたしが映っている。


近い…近い…近すぎる!


巳波の吐息がかかり、妙に擽ったい。


何だこれ?


煩い、凄く煩い。


鳴り止め、鳴り止んでよあたしの心臓。


バクバクと飛び出しそうなくらいに心臓が跳ね上がる。


キス…とか何思ってたのあたし!?


もしかして、期待してたとか?


いや、ありえない、ありえない。


ありえて欲しくない!