家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)




不安と期待と何処か他人事のようにどうでもいいやなんて、投げやりになってるあたし。


「…来るっ」


そう言った男の声と同時に、重たい扉を開くような音がした。


ギイィィと古びた音。


その不快な音に耳を両手で塞いだ。


「待ってましたよ〜」


男はその現れた奴に向かって話かける。


肝心な今きたばかりの奴の顔は薄暗い上に、距離も遠いため、全く見えない。


「ほら〜このお姫さん、あんたのモノでしょ〜?駄目だよ、大事なモノはちゃんと閉じ込めておかなきゃ」


お姫さん…?


あたし以外にも誰かいるのかと辺りを見回すが誰も女はいない。


もしかして、お姫さんってあたしのこと?


馬鹿じゃないの?


あたしお姫さんじゃないし…もしかして、あの子と間違えたとか?


麒麟の人達と思われるあの人達と一緒にいた女の子を思い出す。


何よ。


ただの間違いってわけ?


「……」


お姫さんを助けにきたらしい男はただ無言のままで、何も喋らない。


「あれ〜?違いましたぁ?神代柚鈴、あんたのお姫さんじゃねぇの?」


え…何こいつ。


あたしの名前も知ってたの!?


それに、あたしだとわかってて狙ったってことは間違えじゃないわけ?


頭に疑問が募ってく。


何なの、何なの?


あたしだけ置いてきぼり?