「…まぁ、我慢してよ。痛くしないからさ」
「なんかその言い方エロい、てかその自信は何処からくる」
へへへ、なんて可愛い子ぶって笑っても駄目だから。
「…じゃあごめんね〜、もう君と話してる暇なんて無くなっちゃったみたいだ」
可愛い子ぶってる笑顔から一変、目つきが鋭くなったのがわかった。
さっきまでのほほんとしていた雰囲気が嘘のようにピリッと緊張感が走る。
「獲物が引っかかったみたいだなぁ」
ニタリと再び、あたしを襲った時の様な不気味な笑みを浮かべた男を見て、再び鳥肌が立った。
誰?
さっきまであたしと話していた阿保な男は何処に行った?
と言いたいほど。
耳を澄ましてみると、バイク音がどんどんと近付いてきているようだった。
敵なのか、それともあたしを助けてくれるのか。
そんなことを思ったが、多分どちらも違う。
さっき、この男は“獲物”だと言ったしあたしには助けてくれる心強い味方なんていない。
心はバイクなんて乗るような柄じゃないし、今頃きーさんの事で頭がいっぱいだろう。

