家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)



「いやいや、俺偉くないし。下っ端だし〜」


こいつこんな所合わないんじゃないかって思ってきた。


阿保だ。


こいつただの阿保だ。


「あんた、全然合ってないね。あたしが言うのもなんだけど、やめた方がいいんじゃない?」


悪いことをする人には見えなくなってきた。


根は優しいんじゃないかな、本当は。


まぁ、あたしはこいつに攫われたんだけど。


…そうだよ、今ピンチじゃん!


こんなにのんびりしてるヒマないよね!?


「ん〜、楽しいんだよねぇ。若気の至りだよ」


少し意味が違ってると思う。


あ、馬鹿だからしょうがないか。


「ふーん。で、あたし出たいんだけど」


「君はいつも興味が無くなると話題変えるのやめよーよ」


いつもなんて言うけど、あたしとあんたの付き合いは数時間程度なんだけどな。


「でも駄目なんだって。ほら俺って怖がりじゃん?」


いや、何言ってんの知ってるでしょみたいなノリで言われてもあんたが怖がりかどうかなんて知らないし。


あんたが阿保ってことしか知らないから。