「な、何。近づかないでよ」


未だ、ニヤニヤとしているこの男をキッと睨みつける。


「いやぁ、あんたも可哀想だなって思ってね」


可哀想?


この状態が?


だったらこの状態から解放してよ。


手足などは縛られていないが、この薄暗い場所のあちこちに監視カメラのようなものが設置されている。


それに…3人の男があたしを見張るように立っていて、息苦しい。


「ははっ何を言っているのか分からないような顔をしてんね」


「……」


「あっれ〜、俺と話したくない感じ?流石に傷ついちゃうな〜」


言葉とは裏腹に、わざとらしく肩をすぼませる。


正直、ここまで印象が悪い人は初めて。


明らかにこの状況を楽しんでいる。


「それにしても、君、厄介な人に目をつけられちゃったねぇ」


厄介な人?


誰だそれ。


「でも、俺を恨むなよ?俺だって怖くて従ってるだけだし。…君はついてないとしかいいようがねぇよ」


どんまい。と気楽そうな男をぶん殴りたくなる衝動に駆られる。