「へーそうなんだ〜って!あたし柚鈴がバイトしてるの初めて知ったんだけど!?」
ん?
あれ?
心に言って無かったんだっけ?
「言うの忘れてたっぽい」
苦笑いしながらお店のドアを開ければ、聞きなれた声が
「いらっしゃいませ〜」
にっこりと営業スマイルを浮かべるここの店長のきーさんこと紀伊昴〈Kii Subaru〉さん。
「こんにちは、きーさん」
「…あれ、柚鈴ちゃんか〜。こんにちは〜。そっちの隣の子はお友達?」
きーさんは目を見開いた後、すぐにいつもの営業スマイルに戻る。
それが怖いような、憧れるような…。
不思議な感じ。
「あ、えっと…は、はじめまして!柚鈴の友人の芦屋心ですっ」
「へぇ、心ちゃんか。可愛い名前だね」
「い、いえ。そんな…」
きーさんの言葉に一気に耳まで赤く染め上げ顔を俯かせる心。
あれ?
もしかしてのあれですかね。
きーさんにホの字…。
短いショートの髪の隙間から覗く頰はやはり赤い。
そうなんだ。
一目惚れってやつ?
あたし初めてみた。