あたしはもう聞かないという意味を込めて頭を左右に振る。
すると巳波はそっとあたしの口から手を離した。
「…柚には関係ない」
あたしの目を見ずに巳波は言う。
「…あっそ」
あたしは何も巳波のことを問いただすことなんて出来なくて冷たく口を尖らせ答えた。
付けっ放しにしてあるTVから流れてくる台詞。
〔あの人達はあなたの何!?…あの子は誰なの?私はあなたにとって何?〕
〔君には関係ないことさ、俺と彼奴らの関係を君が知ったってどうすることも出来ないだろう?〕
女が男に縋りつき、男を離すまいとしている場面。
…阿保らしい。
そんなに縋りついてまでその男が好きなのか。
そう思うあたしは他の子よりも冷めているのかな。
あたしはTVのリモコンを手に取り電源を切る。
「巳波はいちごミルクしか好きなもの無いの?」
場の空気に合わない話題を出したのは、巳波八尋という人物をもっと知りたいと思ったから。
些細なことでも、何故か知りたいと思う。

