家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)



俺から視線が外され、お姫様に視線が集中する。


いきなり視線が自分に移ったことに驚いたのか、ビクリと肩を震わせた。


「…なんか言われたのか、未玖」


八神の鋭い眼光に顔を俯かせるお姫様。


暫くたった後、お姫様はゆっくりと口を動かした。


「い、居場所が出来たから…ばいばいって、八尋くんが…」


声が震えているのが俺にもわかる。


そんなお姫様を抱きしめる様に背中に手を回す八神。


そして、俺を睨みつける夏以外の奴等。


…これじゃ、まるで俺が悪者だ。


はたから見たら、一方的な女を泣かせる俺と、その女を優しく抱きしめる八神。


全員が全員、俺を悪者だと決めつけるだろう。


「…だから嫌なんだよ」


俺は所詮脇役だろ?


なら、放っておいて欲しい。


最後には必ずと言っていいほどお前らはくっつくんだから。


俺はその過程のちょっとした役でしかない。


だからさ、早く…諦めてくれない?