コイツを見て、顔が歪んでしまうのはしょうがない事だと思う。


「…お願いだから戻って来て?」


なんて、何も知らない癖に言う無知なお姫様。


「…戻る?最初からあそこは俺の居場所じゃ無い」


何を言ってるんだと訝しげに見つめれば


「そんなことないもんっ!あたし…あたしっ」


なんて、何も知らないのにわかったかの様な口振りで


「居場所は、あたしが作るから…」


あんたが来る前まではそこまで仲が悪かった訳じゃ無い。


…仲が良かった訳でも無いが。


でも、あんたが来たから余計に居づらくなったんだ。


お姫様が俺を見つめるその瞳からは恋情がうかがえる。


…だから、だから嫌なんだ。


あんたは王道通り、総長を好きになってくっついて、ハッピーエンドで終わればいい。


あんたのせいで好きでも無い面倒ごとに巻き込まれる。


「これ以上、関わって来るな」


冷たい目で、いつもより低い声で言えばいつも護られてるお姫様は直ぐに怖気づく。


何も言わなくなったお姫様の横を通り過ぎ、誰も使わなくなった空き教室に入る。