「…ず…柚…」


ん〜…。


手を上げて伸びをしようとするとバイクから落ちそうになる。


それを支えてくれた大きい手。


あぁ、そう言えば巳波とアウトレットに来たんだっけ。


眠い目を擦りながら辺りを見回して状況整理をする。


「ごめんごめん、ありがと」


バイクから今度は落ないようにそっと地面に足をつけた。


「…どこ見るんだ?」


あ〜、決めてなかった。


駅前にいるカップルが羨ましくてあのケンカ?に乗じてお願いしただけだから、正直巳波とこうして並んで外を歩いてるだけで十分なんだよね。


「取り敢えず…雑貨屋でも行こうかな?」


なぜ疑問形なのか不思議に思って首を傾げているであろう巳波のことはこの際スルーさせていただきます。


あたしは出来るだけさりげなく巳波と手を繋いで先導する。


…こういう時くらいにしか手なんて繋げないもんね。