ジッとあたしのことを見る巳波にどんな反応をすればいいかわからずに、可愛げの無い悪態をつく。
こんなんだから、いつも振られてばかりなんだ…。
巳波から視線を外せば、楽しそうに笑い合うカップル達が大勢いることに気が付く。
リア充なんて爆発しろっ!!
そんなことを大声で叫びたくなるけど、きっとあたし達もはたから見ればただのカップルなんだよね…。
「…泣かせた代わりにショッピングに付き合って」
「泣いてないって言って…」
「もう!小さいことは気にしないの。巳波のせいで恥ずかしめを受けたのは変わらないんだから」
「なんだそれ」
呆れたようにため息を吐く巳波だけどその口元は綺麗に弧を描いていた。
巳波のバイクの後ろに乗らせてもらって、巳波の匂いがするヘルメットを被る。
「近くのアウトレットね〜」
「…ん」
バイクを走らせると体感温度が数段と低くなる。
吹き抜ける冷たい風が頬を撫で、少し寒い。
巳波の背中に顔を埋めれば、巳波の匂いに全身が包まれるような感覚に陥った。

