｢み、見ないで！｣
地面にしゃがみ込む姿は何だかうさぎに見えてくる。
｢…もうやだ。もう巳波のせいだ｣
何が俺のせいなんだ？
｢顔見せて…｣
あまりにも隠そうとする姿に気になってそう言ってみるが、首を大きく横に振って拒否してくる。
まぁ、拒否してくるのは分かってたからいいんだけど。
俺に言えないことをあの男と話してたことに何だかイライラする。
その仕返し、とばかりに柚の顔をガードしていた手を外せば…
｢…何で泣いてる？｣
顔を真っ赤にしながら涙目になっている柚が姿を現した。
｢泣いてないし、離してよバカ巳波｣
そう俺に悪態つく柚にやっぱ変わってる、と思いながらも親指で柚の涙を拭う。
｢俺のせい…？｣
｢巳波が変なこと言うから…｣
目を逸らして拗ねるように言う柚に胸が跳ねる。
嗚呼、まただ。
また…
｢心臓、うるさい｣
side END
