正直、いつもはあたしから告白することもアタックすることもなかった。


男が告白してきて、アタックされる。


それが当たり前のように思っていて、全然アタックの仕方なんかわからない。



「柚鈴ちゃん?ドアの前でボーッとしてないで早く入りなよ」


いきなりきーさんの声が聞こえ、ビクッと肩が上がる。


「あ〜、すいません。ちょっと考え事をしていて…」


馬鹿だあたし。


何やってるんだ。


「考え事するのは構わないけど、仕事に支障をきたすことはしないでくれよ?」


「…はい」


巳波のことを考え出すと止まらなくなる。


「じゃあ…さっさと中に入れ。風邪引くぞ」


それもそうだ、インフルエンザももうそろそろ流行り出す。


きーさんの後に続いて中に入れば


「あ!!先輩っ、最近来なくて心配してたんですよ?」


元気過ぎる声がキンキンと響く。


「…別になんでもないよ心配してくれるのは嬉しいけど取り敢えず響うるさい」


「酷いですね。相変わらず先輩は俺のことうるさいって…」


「だって本当のことだもん」


「こんな俺でも傷つきますよっ!?」


犬みたいにキャンキャンと騒ぐ、あたしのバイトでの後輩、刈谷響(Kariya Hibiki)


元気だけが取り柄の野球男子。