家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)



「…はい、ココア」


「……」


目の前に差し出されたココアと滝川をチラリと見る。


「隣…座っていいかな?」


俺が座っていたベンチを指差し、遠慮がちに笑う。


俺は何も言わずに首を縦に振り、滝川の手からココアを受け取った。


こんな寒い季節には暖かいココアの熱がちょうどいい。


「…まだ聞きたいことがあるんでしょ?何でも話すよ」


滝川は自嘲するような笑みを浮かべ俺を見る。


俺はココアを一口含み、喉を潤してから口を開いた。


「協力した男って誰だ」


柚を助け出した時に殴り飛ばした男の顔は初めてあの時に見た。


少なくとも俺が麒麟にまだいた頃はそんな族はいなかったはず。


新手の族かもしれないし、ただの喧嘩屋という可能性もある。


それだけわかれば充分だ。


…今わかっていることは麒麟を敵対しているということだけ。


取り敢えず、また柚に危害があった時のため、情報収集は必要だ。