倉庫の外、俺はまだ滝川に聞かなければいけないことがあり、滝川に再び電話する。
今度は俺から、きっとこれが最初で最後になるだろう。
『…どうしたの?』
鼻が詰まった声。
「まだ聞きたいことがある」
俺にも滝川のことを気にしている余裕なんてないんだ。
『相変わらず、マイペースだね。八尋は…いいよ、わかった。下の子達にはここでお別れしてもらう』
相変わらずだなんて、滝川と俺が一緒にいた時間はほんの少しだったのに俺のことをわかった口調。
…本当にわかってるのかもしれないが。
「…近くの公園で待ってる」
『うん。…すぐ行くから』
そこで電話を切る。
麒麟のお姫様の退却。
どう影響が出るか…少なくとも麒麟の内部は暫く纏まらないだろう。
これが、吉と出るか凶と出るか。
…そんなことを考えるのは、もうやめにしよう。
俺を巻き込むことをしなければそれでいい。

