振られたらどうしよう。


なんて思いが今更込み上げてくる。


もうそんな心配したって言っちゃったものは後から取り消しなんて出来ないのにね。


長い沈黙に耐えきれず、チラリと巳波の様子を伺ったと同時に巳波の唇がゆっくりと動くのがわかった。


「…わからない」


ポツリと巳波が呟くようにして言った言葉にどんな表情をすればいいかわからない。


そこまで嬉しくないし、悲しくなもない。


「柚に対して抱いてる感情が何なのかわからない…」


再び沈黙が流れる。


でも、こうして心配して保健室までおんぶしてくれたってことは少なくとも嫌いなわけじゃないよね。


巳波のあたしに対しての気持ちが友情なのか家族愛なのか恋愛感情なのか、本人にわからないことがあたしにわかるはずないんだけど…。


「そっか…でもわからないんだったら少しは希望あるよね」


ぽかんとあたしを見る巳波に


宣戦布告。


「絶対あたしのこと好きって言わせてみせるから」


わからないって言うなら、こっちからアタックしなくちゃ始まらない。


ニコッとあたしの中で最上級の笑顔を見せて巳波を見上げる。


バクバクと胸の鼓動が高鳴っていることに今は知らない振りをしておこう。