これ以上ない絶好のチャンス。


ゴクリと唾を呑み、震える声で言う。


「巳波…」


少し声が裏返ったがそれは気にしない。


「あたし、巳波に言わなくちゃいけないことがあるんだ」

周りの音が遮断される。


さっきまで騒がしく廊下で話していた人達の声も耳に入らない。


チクタクと時計の針が規則的に進む音だけが聞こえてきた。


緊張して巳波の顔なんて到底見れそうにない。


「えと、好き…なんだよね」


それでも勇気を振り絞り言葉を紡ぐ。


ぶっちゃけ、これがあたしの初めての告白。


心臓なんて破裂しそうなくらいバクバク鳴ってる。


ドクンと心臓が波打つ度に頬が染まっていくのが自分でもわかった。


「……」


まだ何も巳波は口にしない。


あと、あたしに出来ることはせいぜい祈ることだけ。


何分たっただろうか。


いや、もしかしたらたった数秒かもしれないけど、あたしにとっては凄く凄く長く感じた。