巳波はゆっくりと立ち上がり、いつもと違う光景にドキドキする。


「重いよね…」


あはは、なんて愛想笑いを浮かべつつもダイエットすればよかったと後悔が襲う。


「…重い」


顔は見えないけど確かに巳波は口にした。


何よ何よ、デリカシーの欠片もない。


「バカっ」


ポカリと巳波の頭を叩く。


乙女にそれを言っちゃダメでしょ。


「…嘘、軽い。綿菓子みたい」


相変わらず顔は見えないけど、流石巳波。

他の男が言う言葉とは一味違う。


巳波の背中…あったかいなぁ。


綿菓子みたいだなんて笑っちゃう。


「早くここから出してね」


お化け屋敷、暗闇から出たら言うんだ。


「わかった…」


自由奔放で目を離すとどこかへすぐに消えてしまいそうな巳波に。


ありったけの気持ちを込めて。