…あたしが嫌いな女の子はね八尋の事が好きな子全員なんだよ。
馬鹿みたいに泣いたあたしに差し出された手は八尋じゃない男の人の手。
目線を上に向けると大河がそこに立っていて
「何した。未玖に何をしたんだ」
いつもより低い、威嚇するような声で大河はお兄ちゃんと八尋を見る。
全然、大河が近づいて来たこと分からなかったなぁ。
「大河、あたしは怒られて当然なんだよ…あたし柚ちゃんに酷いことしたんだから」
罪悪感はあった。
だけど、あの子が傷付けばいいって思う方が大きかったの。
「それは、そいつが何かしたんだろ」
「ううん、あたしが一方的に」
傷付けた。
黒い感情はあたしを支配して、抑えつけることが弱いあたしには無理で
…八つ当たりしたんだ。
馬鹿みたいに泣いて、少しすっきりとしてわかった。
八尋のことを好きな子は嫌いだけど、その子も好かれる為に頑張ってるってこと。
簡単に八尋を振り向かせたあの子に行き所がない気持ちを押し付けた。