「…そっか」


「何にも、思わないのか?」


ユラユラ、ユラユラ不安そうに揺れる瞳。


「第二校舎に通ってること何とも思わないわけじゃ無いけど__」


一歩、巳波に近づくとピクリ、反応する。


「…巳波は、怖くないし…何て言うか猫みたい」


「猫…?」


「うん、猫。直ぐに何処かに行っちゃいそうで、どこか魅力を感じる。あたしが巳波を拾ったのも、きっと巳波の魅力のせい」


__だから、そんな哀しそうな瞳をしないで。


ふわり、巳波の頭に手を乗せてなでなで撫でる。


そんなあたしの行動に巳波は顔を俯かせた。


「…あっ!」


ふと、時計に視線を移すともう家を出る時間を過ぎていて


「巳波、ごめん。学校行ってくる!」


直ぐに巳波の頭から手を離して、必要な物を持ち、家を後にした。