「雪?着いたよ?」
雪はちっとも起きない。
俺は仕方なく、チャイムを押した。
「はいー」
この声は、雪のお母さんだろうか。
少しすると、ドアから雪のお母さんが顔を出してきた。
雪に似て肌も白くて凄くキレイな人だ。
「あっ、えっと…」
雪のお母さんが戸惑っているのが分かった。
そうだよね、年頃の男が可愛い娘を背中にのせてたら戸惑うよな。
「今日、皆でカラオケ行ったんですけど、雪さんが熱でちゃって…。家が近いんで送ってこうと思ったんですけど寝ちゃって」
「あら、そうなの。ありがとね」
雪のお母さんは優しそうに、微笑んだ。
「いえ」
俺は小さくお辞儀をした。
「雪の彼氏さん?」
「違います」
「あら、残念ね」
雪のお母さんは、残念そうな顔をしながらまた笑った。
その時、雪が目を覚ました。
「あれ…お母さん?」
「雪?玄関だよ」
「あ!晴輝ありがとう!」
そう言い、雪はとっさに俺の背中からおりた。

