『霖雨の手紙』

塞がったはずの傷が
前触れもなく開く

何故だと熟考するより先に
眼裏で気泡が弾けて
ブラックアウト

鼈甲色の照明が輝いて
人の輪郭を暈して消えた

焼けるような痛みに眉をしかめて
長く寒い夜の始まりに
焦ったのは僕

深く底へと沈む意識と
泥みたいな陰気な感情

霖雨の気配に足を捕られて
落ちていく

窓の外で泣いてた君は

雨が降り出すとくすりと笑って
濡れた手紙を僕に残した