The second partner ~夢と英雄と雪解けの記憶~

「いいや、そうでもないよ。

最近は比羅夫や山田のペンションに人が集まるからさ。

街中にあるうちみたいなところは、そんなに人が集まらないんだよ。」




「そうだったんですか……。」




「うちの旅館もいつまで続けられるかなァ……。

俺もそろそろ、引退してもいいくらいの年齢だしね。」




豊川のおじさんは笑っていたが、私は一緒に笑う事ができなかった。




幼い頃の記憶の中に、何度も豊川苑へ行った思い出がある。


誰と会ったのかという対人面の記憶はないけれど、場所に関する事はよく覚えていたから。