The second partner ~夢と英雄と雪解けの記憶~

「都那ちゃん、こんにちは。」




「あっ!豊川のおじさん!」




窓口で事務作業をしていた時だった。




私に声を掛けてきたのは、母の同級生だった豊川さん。


豊川のおじさんは、祖父母の家があった場所から程近い老舗旅館・“豊川苑”の2代目オーナーだ。




母から聞いた話によると、私は小さい頃、豊川のおじさんと何度も顔を合わせていたようだ。


しかしその記憶は私の中にはなく、この町に住んで彼と再会した時に初めてその事実を知った。