校舎の陰から覗き込むと、約束の木のところににそれらしい女の子が来ていた。

赤チェック柄のスカート。2年生だ、同級生か。同級生で呼び出し……てっきり勘違いをしている1年生からの呼び出しかと思っていたので驚いた。2年生なら俺が女子だという事はわかっているはずだ。告白じゃないのか?わざわざここに呼び出してなんの用だろう?

走って乱れた髪を整えてからブナの木の前に立つ女の子に近づく。相手はこちらに気づき、ぱあっと顔を輝かせてから照れた用に俯いた。

「ごめん、待たせたかな?」

「い、いや!全然!!私の方こそ呼び出してごめんね」

相手は恥ずかしそうに少し俯いたまま、そう答える。俯いてるせいで顔がよく見えないが、まさか・・・という考えが頭を過る。

ふわふわとした緩いパーマのかかった茶色い髪。Yシャツにピンクのカーディガン。白いハイソックスに茶色いヒールアップローファー・・・。まさか、この子は・・・。

「そ、その・・・今日羽間さん呼んだのは理由があってね。お互いに色々あるのはわかってて、それで言うんだけどさ」

ゴクリと生唾を飲み込む。

「ずっと前から羽間さんの事好きだったの!よ、良かったら私と付き合って下さい・・・!」

その言葉と同時に上げられた顔には見覚えがあった。やっぱりという気持ちと同時に俺でいいのか?という思い。というのも、彼女はうちの学校でもTOPを争う美少女。昨年度の学校可愛い女子ランキングで学年1位、総合でも2位を獲得した雲の上のような存在。

『水芝弥生』彼女だった。