「いいから寝てろ」

「…ごめんなさい」





ため息交じりの葵くんに、シュンと落ち込む。
ウンザリしているよね。
葵くんの前で倒れちゃって、無視するにできなかったんだよね。





「葵くん…」

「あ?」

「昨日の事も…ごめんなさい」

「…別に。ウソは言ってねぇしな」

「え?」




布団から顔を覗かせて葵くんを見る。
葵くんは、キッチンの方に歩きながら、ふと立ち止まりこちらを見る。




「…俺、女に不自由したことねぇし?」

「…へ」

「いろんな女が寄ってくるのは、間違ってねぇし」

「…そうなんだ…」



―誰にも本気にならないけどね




梨奈ちゃんが言っていた言葉。
いろんな人が寄ってくるから、本気になる必要ないの?