キラキラと輝く星空。
月はまん丸く光り、今日が満月だと知らせる。

私は、藤堂くん…改め葵くんのアパートのベランダで星空を見上げていた。



“友達”だと言ってもらえ、私の心は晴れ渡るよう。
噂に流され、偏見を持っていた私を責めたりもせず、受け入れてくれる皆さんに、私は救われたのかもしれない。


―あまり、関わらないほうがいいよ



友恵の言葉がうかぶ。
きっと、このことを知ったら友恵は怒るだろう。

あんな人たちと関わるなと言ったのに、って。




でも、少しだけ信じてみたいと思った。
私の世界を変えてくれるかもしれないあの人たちに。
賭けてみたいと思ったの。





優等生な自分。
そんな自分が嫌だったわけじゃない。
だからこそ、今の私がいるんだから。





「風邪、ひくぞ」




ガラッと音を立てガラス戸をあけ、葵くんが顔を出した。
夜になると、肌寒くなる。
もうすぐ、冬も近い。




「もう少し…」




私はそう言って空を見上げた。